空桃(そらもも)

桃って勘違いの女王なの。家に来る人はみんな、桃と遊ぶためだけに来てくれると思ってるし、マミーが冷蔵庫や冷凍庫を開ける時は、桃のために美味しい物を出してくれるんだと思ってるの。だから首傾げてドアが開くのを待って、野菜ボックスには頭を全部入れて深呼吸してるの。だって、冷蔵庫って桃にとっては宝箱。美味しいそうなものがたくさん入ってて、しかも涼しくて気持ちがいいんですもの。そんな桃をからかって、マミーったら「桃も腐らないうちに冷蔵庫入れようか?」なんて言うのよ。喜んで入るわ。あとね、タッパーウェアは全部桃の食べ物が入ってると思ってるし、マミーが洗ったり切ったりしてるお野菜は、全部桃の物だと思ってるの。桃はめったに大きな声でお話しないんだけど、例外は誰かが来たみたいなのにその姿が見えない時。例えば、郵便屋さんが郵便物を玄関のドアから入れてくれる時。でもね、時々間違えちゃうの。大きな声で脅かしたつもりが、「桃ちゃん、お外に誰もいないよ。また空桃やっちゃったの?」って言われるの。桃の空耳は空桃なんですって。

さて、なんか桃に都合が悪い方に話が進んでるみたいだから、布団でも被って寝たふりしよっかな~。本日の桃の格言。「空桃も、嘘八百とはいかぬのか。がっくし。」